昔話学校編7 ドラマみたいなお別れ会 2003/3/22

 僻地の中2、8人生徒の担任です。

 3月20日までいて転校していった生徒がいました。引っ越しの関係で、24日の終業式まではいないとのこと。 

 花子さん(仮名)は2学期から転入してきました。前の学校で、相談室登校、授業にでる目的で転校してきました。「勉強さえできればいい」という考えのような感じです。「修学旅行には行かない」と言い出しました。僕が「うちの学校の思い出づくりとして行こうよ」というと、「思い出なんて要りません。なんでそんなことしなければならないんですか」といいます。複雑な家庭事情もあります。彼女は人間不信に陥っていて、かろうじて成績のために学校にきているような気がしました。いつも不幸そうな顔をしていました。

  それでも何とか修学旅行に行ってきました。彼女も楽しそうでした。帰りの新幹線ではみんなとゲームをやっていて僕もうれしかった。 

 僕は学級委員等に「3月20日の4限と5限の学活と理科をつかってお別れ会をやって欲しい」と頼みました。級友たちもいっしょうけんめい計画し、やってくれました。4限はホットケーキづくり、5限はドッジボール。ドッジボールでは校長、教頭、副任にも入ってもらって、盛り上げてもらいました。場面緘黙で相談室登校の寛美さん(仮名)もにこにこしながら見ています。ドッジボールがおわり、色紙やら手紙やらを贈呈。<先生の話>で僕も話をしました。不覚にも僕は涙ぐんでしまいました。 

面倒な生徒でしたが、あとで「先生に反抗的な時があってすみませんでした」といってきました。「あのときはどういう心境だったの?」と聞いてみましたが「ただ何となく」ですって。思春期の頃、何となく、反抗したいときがあるのかもしれませんね。 

 帰りの会が終わった後も級友が、花子さんの白の体操着に、記念にいろいろと書いています。花子さんもとびっきりの笑顔でした。最後はみんなでお母さんの車で帰るのを見えなくなるまで見送り、終わりました。転校生もやっと人を信頼しはじめたような気がします。 

自分でいうのもなんですが、「いい仕事をしているなあ」と思いました。