昔話学校編6 僕はカウンセラーじゃない 

1998/3/13

 今日3月13日は公立高校の発表日、全員合格を期待してはいるものの、結果はそうはいきません。僕のクラスでは2人が不合格でした。一人は専門学校2次募集を受けるということで明日願書提出です。

 問題は私立併願を合格していた北さん(仮名)でした。普通ならすんなりと第2志望の私立でおさまるのですが、なかなかすんなりとはいきませんでした。お母さんがパニックで「公立2次募集を受けさせて下さい」と無理なことを言います。公立2次募集はすべての高校を不合格になった人だけが受けられるのです。経済的に大変で、せっかく合格している私立を辞めさせようと言うのかと思っていたら、「お金なら何とかなります。私たちの頃は私立なんて馬鹿がいくところで、もうはずかしくって」といいます。もうそれからはむちゃくちゃなことばかり。「他の県は受けられないか?」はまだいい方で。「落ちたのは納得がいかない。」「推薦をうければよかった。」など、しばらく話を聞いていました。 

 私立をやめるとすれば、浪人か、定時制しかありません。私立の手続き締め切りは明日14日9時です。結論を急がねばなりません。本人は「私立にいきたい」という意志表示をしました。お母さんは感情的なったままです。2回面談を中断しました。本人とお母さんを離しました。本人に「私立にいきたいのであれば、君の希望の方向で話してみるよ」と言いました。カウンセラーなら、自分の課題ですので代わって行動することはしないのでしょうが、僕は教師です。生徒が希望して、時間がないのなら代わって行動することもあります。 

お母さんに「高校は第2志望でしたが、大学は第1志望をねらいませんか?この高校からでもこんなに大学に入っていますよ」と言って納得してもらいました。最終的な行動の決断は明日の朝です。延々と2時間半の面談はようやく終わりました。カウンセラーの勉強をしていてよかったと思いました。同時に僕はカウンセラーじゃない、教師だと思いました。 

面談を終えてようやく教務室に戻ってくると、「どうでした?」の問いに「私立に決まりました」と答えると、残っている職員から拍手がわきました。北さんのお母さんとの面談は大変だと言うことを他の職員も知っていたからです。二人日直の一人だったのですが、もう一人の先生が、全部まわってくれていました。暖かい職員の思いやりにふれた日でもありました。