昔話学校編3 人が馬鹿にしていやだという女の子への対応  199855

中学1年生の担任になりました。毎年いろんなタイプの中学生に出会います。でも、中1の最初は、手は掛かりますが、素直でいい感じです。 

先日、理科の時間に長谷部さんが泣いていました。友達で同じ班の大川さんが、「水を出したときに勢い余ってたくさんでて、みんなが笑ったんです。特に広井君が馬鹿にするような笑いなんです。」と言いにきました。大したことじゃないと思っていました。そのときは広井君に「謝ったら」と言い、彼も謝りました。それで終わるつもりでした。 

ところがその日の生活ノートを見ると、「自分ばかり馬鹿にされて、もういやだ。」と書かれています。作文を読んだら、おなじようなことが書かれていました。昼休みに話を聞くことにしました。昼休み、理科準備室に呼んで話を聞きました。友達2人も一緒にきました。 

「入学してから、よく人に笑われるんです。特に広井君は{馬鹿がうつる}なんていってくるんです。泣きたくなってくるんです。」 

さてどうしますか? 

広井君ともおなじ班なので、「今日は、宿泊学習実行委員会があるので、明日班の人で話し合ってみませんか?」と提案しました。OKをもらったので、次の日道徳の時間、他の班には学級目標を考えてもらい、その班だけ近くの部屋に移動しました。教室は副任の人にでてもらいました。長谷部さんから「特に広井君に馬鹿にされていやだ」と話が出され、広井君も認めました。 

僕は「誰かを攻めるのではなく、長谷部さんが普通に学校生活を送ってもらうために協力をしてもらえないか。」と言いました。広井君も謝ってくれました。長谷部さんから「他の人からもよく笑われていやだ」と言うので「クラスのみんなに、自分の口から言えますか?」と聞くと「言える」と言う返事が返ってきました。 

クラスに戻って長谷部さんはみんなの前で「私を馬鹿にするのはやめてください、悲しくなってしまいます。」と言いました。僕はクラスのみんなに「彼女が普通に学校生活をおくために、馬鹿にするのをやめて欲しいんだけど」と頼み、「馬鹿にしないと約束してくれる人は手を挙げてください。」と確認しました。 

これで終わってはいけません。

1日経って、広井君が約束を守ってくれていることを確認して、広井君に「約束を守ってくれてありがとう。」と言いました。クラスにも、約束が守られていることを確認して「約束を守ってくれてありがとう」と言いました。この働きかけを、間隔を少しあけながら、やっていきます。約束を守っているというプラス面に対して、注目していくことで問題が解決していくと思いました。

今回は長谷部さんが自分の口で言えたことがよかったと思います

長谷部さんの勇気ある行動に敬意を払いたいと思います。

(名前はすべて仮名です。)