昔話学校編1 小学生からはじめに謝らせた話  20160313 

今から20年前の話です。 

S中学校で1年担任をしていました。あるとき、生徒指導部から「五十嵐先生のクラスのA君が、校区の小学6年生のB君を殴ったということが分かったので、保護者同伴でB君のところへ謝りに行かせてほしい。」と話がありました。 

「子どものけんかに、大げさなだなあ」と思いましたが、組織で動いている身としては従わざるをえません。 

中学生が小学生に頭を下げるとなると中学生の面子にも関わります。何かいい方法はないものかと思案していました。そもそも何もない状態でいきなり殴ることなんてあるはずがありません。 

僕は何とか、A君親子が小学生のB君宅へ謝りに行く段取りを作りました。そして僕は、約束の30分くらい前に小学生B君宅へ行きB君に聞きました。「A君が君を殴ったことは悪かった。今日は謝りに来ます。でも、いきなり殴るなんて考えられないよ。どうしてそうなったか教えてくれないか。」はじめ小学生B君はためらっていましたが「悪口を言いました。」と答えてくれました。「正直言ってくれてありがとう。頼みなんだが、はじめに、悪口を言ったことに対して、君の方から謝って欲しいんだ。」と言いました。はじめに小学生が謝ってくれれば、中学生A君も小学生も謝りやすいはずです。 

小学生B君はためらっていました。 

そうこうするうちに、中学生A君親子が小学生宅に到着。 

全員、そろったところで、僕は切り出します。「事情を聞いたところ、B君がはじめに悪口を言ったということです。B君、はじめに、そのことに対してA君に謝って欲しんだけれど」 小学生の反応は・・・ 小学生B君は「悪口を言ってすみませんでした。」と謝ってくれました。 

そして、中学生A君が小学生B君に「殴って、すみませんでした。」保護者も「申し訳ありませんでした。」 

無事、謝罪の会は終了です。 

ちょっとした工夫で円満に終わりました。めでたし、めでたし。

後で、僕のクラスのある保護者が「五十嵐先生は小学生から最初に謝らせたそうじゃないか。ああでなくちゃいけない。ああでなくちゃ」と言っていたということを聞きました。